プライスアクショントレーダー

Dix-Murrayの短期売買法

第三章:相場の本質

第3章:相場の本質

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相場は、ブル派とベア派の引き合いにある。

その相場に参加しているトレーダーがブル側につけば、価格は上昇していくし、ベア派につけば下降していく。その力が拮抗していれば、相場は横ばいの状態となり一定の価格幅のなかで推移する。レンジと呼ばれる状態だ。

多くのトレーダーたちは、ブルとベアの力の拮抗が崩れたトレンドの中で売買を行い、そのスタイルはトレンドフォローと呼ばれるものになる。

「ビル、君ならこの相場。どこで売買を行う?」

ビルはしばらくチャートを見つめたのち、一か所に印をつけた。

「ここかな」

「根拠はなんだい?」

「そうだな……。まずは移動平均線の上にレートが位置している。平均値より上だから移動平均線のN期間内で買いを入れたブル派に含み益が乗っている。
安値を切り上げて高値更新した上昇トレンドでもあるし……

ここは上昇ペナントが形成されて、高値をブレイク後、リターンムーブ。上昇ペナント上限値と移動平均線に対して下髭陰線形成。この下髭からこの下に強めの買いが入っていると判断する。だからこの陰線確定後に買いをいれると思う」

ビルはこれまで沢山の費用と時間をかけて学びをおこなってきた。彼が提示した売買ポイントも、単純に押し目という根拠だけではなく、そこに彼が考えうるものを見出した。

もちろん、このチャートだけで判断することは限られているし、実際はより上位の時間軸の状況を加味しなければならない。それでもビルの判断は正しいといえる。これまでの学びで得た判断内であれば。

「素晴らしいよ、ビル」

「ありがとう」

「だけど私なら更に下で買いを検討すると思う。ここだ」

「いいかい、ビル。為替相場での売買は株とは違う。みんなが見ているダウ理論、グランビルの法則、他もそうだが、その多くは株で売買をする際に見られていたものだ。
その株のトレードをそのまま為替に当てはめることはできない。もちろん、全く使えないといっているわけじゃない。わかるね?
そうではなく、株には株。為替には為替の売買方法があるということなんだよ。

 

為替相場で売買を行おうと思ったら、その本質に目を向けなければいけない。
その物事の本質は、高くなったら売る安くなったら買う、だ。きみが何かを購入するときに値上がりしているものを喜んで買うことはないだろ?

そう、きっと価格が安くなれば君は喜んでほしいものに投資するだろう。それは車かもしれないし家かもしれない。りんごやジャックダニエルかもしれない。
いいたいのはみんな欲しいものを手にしようとするときは、より安い価格のものを探すということだ。

だけど為替の世界ではみんな高いものを買おうとする。それは本質からずれてしまっている行動だ。買いを入れたければより安くなったところで買いを入れていかなければいけない。株の売買は基本順張りだ。高くなってきているものにトレンドフォローでついていく。

 

だけど為替の場合は、株とは逆で基本戦略は逆張りなんだ。だから価格が上昇してきたら、我々は買い場を探すんではなく、売り場を探さないといけない」

 

 

ビルはまた私に不安そうな表情を見せた。価格が上昇している時、どこが天井になるかも分からないのに何故売りのオーダーを入れられるんだ?そんな心境なのだろう。

みんなが買っているんだから買いを入れるべきだ。流れに逆らうことなく。彼の表情はそう物語っていた。

 

「多くのトレーダーがダウを軸に置いて売買を行う。君がさっきのチャートで示したポイントも、ダウでみても上昇が形成された後の継続に向かおうとするポイントだね。

ここでみんなが買いを入れてくると考えるのは当然だ。だけどだ、基本大衆がそこを上昇トレンドだと認識したところで買いを入れるのはすでに遅いと言えるんだ。

我々は、まだ大衆がまだ売りが継続されるかもしれないと考える段階で買いを仕込み、彼らが買いを検討しだした段階では含み益を抱えている。

場合によっては、他のトレーダー達が買いのポジションを形成してる段階では分割決済を行っている場合もあるだろう」

 

この言葉の通り、私は価格が上昇していれば売り場を探していく。だがその売り場を探す目が向けられているのは自分が売買のポイントを探る時間軸での話だ。

 

「いいかい、ビル。何も価格が上昇している時に常に売りをいれようということではないんだよ。それではギャンブルに近いものになる。そうではなく、日足や週足レベル、または4時間足レベルで価格が上昇しているとした場合、私も買いで入っていくことになる。

この上昇をどう定義付けるかは各々の判断になるだろう。ある者はボリンジャーバンドのミッドライン上下で判断するだろうし、あるものはDMAに対する終値の位置関係で判断する。

私の場合は、サイクルと節目でこれを確認していく。どちらにしてもだ、自身が上昇の余地があると判断した場合、より上位の軸に対してはその方向に沿ってポジションをたてていくということだ。

そして逆張りというのは環境認識を行った軸より下位の足で行うことになる。だからミクロフォーカスで捉えれば私の売買はカウンタートレードになるし、マクロでみればトレンドフォローになっているということさ」

 

ビルはここでようやく納得したように頷いた。

「順張りの逆張りというわけか。納得いったよ。きっと私にとって足りないのは相場環境の分析と執行する際の判断だろうね。ディック、きみは判断にオシレーターは全く使うことはないのかい?」

 

「いや、そんなことはない。私はオシレーターを否定している人間ではない。あくまで価格変動をおなざりにしてオシレーターに頼るべきではない、ということさ。

私がオシレーターで使うとすれば、WSTO(ダブスト)というものだ。ここで私は3つのダイバージェンスに注目している」

「3つ?ダイバージェンスであれば、ダイバーにリバーサルだと思うけど。3つ?」

「そう3つのダイバージェンスだ。ダブストは判断に迷った際にも、売買を行う際のひとつの根拠としてよく働いてくれる。これについてはまた別の機会を設けよう。

あと使うとすれば、フィボナッチリトレースメント。先行指標だ。私はこのフィボナッチで売買のほとんどを行う」

 

気づけば日が落ち、辺りは暗くなっていた。
私はビルを夕飯に誘い、私たちは学びの一日を終えた。

 

 

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